2013年5月8日水曜日

レース


夏井いつきさんが松山のラジオでやっている毎日10分間の俳句番組というのがあって、それは視聴者、じゃない聴取者、今風に言えばリスナーの投句を募っていることを教えてもらった。で、愛媛の放送局なので聞くことはできないのだが、驚いたことに、毎日の放送をリスナーが勝手に文字に起こしてその日のうちにネットの掲示板に掲載している。放送局も知っているはずだがとやかく言わないのが偉い。おかげで日本中、世界中どこにいても文字で毎日の放送を読むことができる。インターネットの正しい使い方。

一つの兼題で週5日の放送だが、構成が上手で、月、火、水、木、金と別々のドラマがあり、読んでも面白い。それでおもわず投句してみようと思い立った。立ったのだが、実は兼題が難しい。粽、三光鳥、筍飯、レース、と来た。粽? 子どもの頃に食べた覚えはない。なので、全然イメージが湧かない。かろうじて数年前に実家に帰ったときのことを思い出したので句にした。思いはある。が、俳句としてはベタである。おつぎ、三光鳥。これはさらに厳しい。インターネットの(正しいかどうかわからないが)便利な使い方の一つであるところのユーチューブで映像を漁って、そういえばこれはジュビロのマスコットだ、などと思いつつ、その中のある映像のイメージででっち上げた。なんとなくけしからん感じの作り方である。せめて動物園にでも見に行けよ、という感じである。まあしかし兼題だから、と自分を誤魔化す。次は筍飯。これは好き、オッケー。といいつつ、これまで筍飯で俳句を作ろうなどと思ったことはないことに気が付く。いつのまにか夏井いつきに洗脳されているのか俺、などとうじうじする間もなく、次はレース。ええと、夏の季語でレースっていうとボートレースのことかな、と思いつつ角川歳時記をひもとくと、編むレースのことらしい。

ううむ、これは厳しい。レースを編んだことないし、レースを編む人を周りで見たことも多分ない(一切記憶にございません、というのは覚えているのに忘れたふりをするときに使うセリフらしいが、ホントに記憶にない。)。どっからどう攻めてみてもなんのイメージも湧かない。レースのカーテンでも良いらしいが、レースのカーテンにどうこうという思いがでてこない。ううむ、こまった。試練の時である。


レース編む夜とぶ鳥を思ひつつ 柴田佐知子

慢性的愛やレースのカーテンや 池田澄子


柴田さんの句は角川歳時記の例句に挙げられていた。愛の2句。入り込む隙がないではないか。

2 件のコメント:

  1. 月曜日とかラジオを聞いていて大きな声で笑ってしまうので
    ハッとして窓を閉めたことが何度かあります。隣近所にご迷惑かなと思って・・・。

    組長の語り口は実際の句会の時と同じです。

    くろやぎさん、私この前はじめて粽を食べました。
    笹の香りがしてとても美味しかったです§^。^§

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  2. デパートの粽ですか(笑)?

    僕も、粽なんて唱歌の中だけのものと思っていたんですが、数年前に実家に帰った時にスーパーで売ってたんです。東京の商文化が流れて来てるんだなあとか思いつつ、入院中の父のところに持っていって一緒に食べました。美味しかった。

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